2020年は指紋認証生体カードの元年となるか? 高額取引でもPINなしで、スピーディーな支払いが可能に

2019年11月14日19:15

生体認証は将来的に、国内でも決済やポイントサービス等のIDとして広く活用される可能性がある。そんな中、世界中で汎用的に利用できる指紋認証生体認証カードの市場投入が迫ってきている。指紋認証を活用したカードの決済は2010年代前半から実験が行われていたが、2020年は市場に投入されるユースケースが生まれると思われる。これにより、高額な買い物の際もPIN入力を省くことができるなど、流通店舗での消費者の利便性がより高まる可能性もある。

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世界で初めて指紋センサーを搭載した非接触決済カードとして話題をさらったのはノルウェーのZwipe AS(ズワイプ社)だ。同社は2009年に設立。ノルウェーの金融機関 Sparebanken DIN(Eikaグループ)での試験運用を実施し、Mastercardとも2014年に提携している。また、セキュリティ大手のThales(タレス)/Gemalto(ジェムアルト)とも提携している。

また、IDEMIA、Giesecke+Devrient、KONAiといったデジタルセキュリティベンダーに加え、NXPセミコンダクターズでも非接触型指紋認証カード「フィンガープリント・オン・カード」を紹介している。

指紋認証カードは、カードにバッテリーが搭載されているタイプに加え、決済時に端末から給電するタイプの2つがある。Zwipeのカードは端末から給電するものだが、IDEMIAがJCBと行った実験ではバッテリー搭載の製品が使用された。

また、カード会員の指紋データは、直接カードに記録するケースが多い。カード利用者は、指紋センサー部分に指紋をスキャンすると、非接触決済を行うことが可能だ。

現在、非接触決済カードでは、各国によってPINコード(暗証番号)入力を行わなければいけないフロアリミットが設けられている。しかし、指紋認証カードを活用すれば、金額にかかわらずPINコードの代わりに、生体認証を行うだけで、支払いが可能となる。

また、より高額な取引でも非接触決済が利用されやすくなると同時に、加盟店はレジでの決済スピードをアップさせることが可能となり、同時にカード会社は不正な取引を削減することが可能だという。来年に向けては、上記の企業の各種認定作業が完了し、徐々に市場投入に進むと思われる。

当然、普及には課題もある。従来のクレジットカード等に比べて1枚当たりのコストは高くなる。そのため、当初は、カード会社なども特定のユーザーに限定した発行、もしくは年会費が高額なカード、発行手数料を徴収したカードになると思われる。

ただし、支払い時のセキュリティに敏感になっているカード利用者は多いため、同カードの普及に期待したい。また、日本市場への投入に向けては、国内の電子マネーやポストペイで利用されているFeliCa対応の商用化が早期に実現するかも注目だ。

※ジェーシービーは、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズと共同で、QUICPay+に対応した指紋認証機能付きFeliCaデバイスを開発

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New Retail Navi編集部

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