飲食店の経営に直結する「無断キャンセル」、対策ソリューション・サービスが登場

2019年11月13日10:10

近年では、飲食店などでサービスを予約したユーザーが来店しない「無断キャンセル」である「No show(ノーショー)」が課題となっているが、対応ソリューションやサービスも複数登場している。当初は、デポジット型などで苦戦しているサービスも見受けられたが、その課題解決に向け、さまざまな取り組みが行われている。

No showによる損失は推計最大2,000億円?

経済産業省では、飲食店における無断キャンセルへの対策をまとめた「(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」を発表している。それによると、ノーショーによる損失は推計最大2,000億円とされており、無断キャンセルが課題となっている。その対策として、仮にノーショー発生時には、飲食店はキャンセル料を請求できるとされている。

飲食店では、事前のキャンセルポリシーの事前の掲示、キャンセル料の設定理由の説明が必要だ。また、消費者はノーショーとなることがないように、仮にキャンセルする場合には、事前連絡をする必要があるという。

※経済産業省「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」のポイント(経済産業省)

たとえば、宿泊施設や航空会社などでは、予約直前でのキャンセル、もしくは土壇場でのキャンセルの防止に向け、キャンセル料が設定されているケースがほとんどだ。しかし、電話予約などが多い飲食や理美容業界では、土壇場でのキャンセルによって店舗の運営に大きな影響を及ぼしている。

その対策に向け、ある会社では、予約と同時に前受金(保証金)を受け取るサービスを展開した。しかし、飲食店ごとにクレジットカードの加盟店契約を締結する必要があること、デポジットを事前に受け取る仕組みのため、消費者も敬遠し、具体的な成果を得ることができなかったとの声もある。

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その課題を踏まえ、クレジットカードによるキャンセル料の適用を提供しているのがTableCheck(テーブルチェック)だ。同社では、キャンセルプロテクションとして、電話予約時やネット予約時もクレジットカードの入力を求める機能を提供している。導入した飲食店は、予約と同時に決済を行う「事前決済型」、予約時にカード情報の入力のみを必須とする「与信(仮押さえ)型」の2パターンから、ネット予約の掲載プランごとに設定ができる。

仮に、直前のキャンセルや無断で店舗に来店しなかった場合、店舗のポリシーに沿ってキャンセルチャージを提供するため、デポジット型などに比べ有益なサービスであると自信を見せている。2017年6月から、同社のテーブルソリューションを導入している全ての飲食店において、別途追加の初期導入費用、月額固定費用なしで利用可能となるなど、利便性も向上しているそうだ。

※テーブルチェックのキャンセルプロテクション(テーブルチェック)

また、高級店向けのサービスである「ポケットコンシェルジュ」でも事前決済を採用。予約日の3営業日前から2営業日前までのキャンセルでは、申し込みのコース代金の50%、予約日の前日および当日は申し込みのコース代金の100%をキャンセル料として徴収しているため、ノーショー対策に活用できるだろう。

また、クレジットカードの不正使用等で知見のあるGardiaでは、飲食、宿泊(旅行)、美容(サロン)等での無断キャンセル時に、サービス提供者側(飲食店舗、宿泊施設など)が被る被害を保証するサービスを開始している。飲食店と消費者の間に同社が間に入ることで、事業者のリスクを抑制可能だ。すでに食べログ予約などと提携している。

※Gardiaの保証サービス(Gardia)

さらに、KDSでもノーショー対策となる「PAYCON(ペイコン)」を10月1日より本格始動している。PAYCONは、Web予約と同時に決済ができる予約事前決済システムだ。国際ブランドの決済に加え、Apple Pay、LINE Pay、Amazon Payといった支払いにも対応しているのが特徴だ。加盟店には、専用の予約ページや管理画面を提供。キャンセルの条件も加盟店のニーズに合わせて柔軟に対応できるようにしている。

※「PAYCON(ペイコン)」の特徴(2019 JAPAN IT WEEK秋)

そのほか、弁護士が運営するノーショー対策サービスである「ノーキャンドットコム」などのサービスも登場している。

なお、前述のテーブルチェックでは2018年12月、20代~50代の男女1,101名を対象に、「飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」を実施したが、7割超の消費者が、 飲食店のキャンセル料を支払うことが妥当だと回答したという。これは、エアライン・航空券を超える数字だ。飲食店にとっても、ノーショー対策は、一考の余地があるだろう。

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New Retail Navi編集部

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