小売流通企業のDX推進に向けて業務提携(サイバーエージェント/NTT Com)

2021年8月30日20:22

サイバーエージェントとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、2021年8月26日に小売流通企業のDX推進にむけた業務提携を締結したと発表した。

同業務提携にもとづいて、両社の強みを活かし、小売流通企業のマーケティング改革および新たなビジネスモデル創出の支援を目的とした「次世代スマート広告プラットフォーム」などのソリューション提供を目指すという。

同プラットフォームを通じて、小売流通企業のアプリや店頭のサイネージなどを新たな広告媒体として活用することで、広告事業を小売流通企業の新たな収入源として確立することを目指す。

業務提携のイメージ(サイバーエージェント/NTT Com)

米国ではAmazonや全米に4700店舗以上を展開する小売大手のウォルマートが新たな収益の柱として「広告メディア事業」に注力し、業績を大きく伸ばしている。他にも、英国大手小売業のテスコ、中国大手小売業のアリババやテンセントなども広告事業で業績を伸ばし、世界で小売企業の広告事業参入が注目されている。

一方、国内の小売流通企業では、店舗や顧客のデータを活用する基盤整備といったシステム面の課題に加え、業務面においても既存の業務フローが結果として部分最適となっており、業務横断的なデータの取得・利活用に最適なフローとなっていないという課題があるためDX推進が加速されず、結果としてデータの利活用が求められる広告事業への参入は進んでいないとした。

サイバーエージェントはテックカンパニーとしてAI研究・UI/UXデザインを追求し、「デジタルオペレーション力」「広告商品の開発力」を強みに、企業のDX推進を支援している。「AI Lab」では小売業の価格最適化や需要予測など「経済学×AI」の実ビジネスへの応用に積極的に取り組むと共に、自社が提供するBtoC向けサービスでのUI/UXデザインや、DSP開発実績などの知見を活かし、購買体験のデザイン設計から実装、運用および分析まで一気通貫したサービスを提供している。

NTT Comは、事業ビジョン「Re-connect X」にもとづき、生活者・ビジネス・社会を、安心・安全かつ柔軟に「新たな価値でつなぎなおす」ICTサービス・ソリューションを提供している。通信事業者ならではの高品質なインフラと技術を活かしたデータ利活用基盤上で、企業や店舗などに点在するデータを安心安全かつシームレスにつなぎなおすことで、企業成長のエンジンを生み出すそうだ。

このような背景のもと、両社は小売流通企業のDX推進に向けた業務提携を締結し、各企業のマーケティング改革および広告事業参入による収益化支援に取り組む。

同プラットフォームを導入することで小売流通企業は、自社でゼロからデータ活用基盤を構築することなく広告事業へ参入し、新しい収益源を確保することが可能だ。広告事業の開始にあたり必要となる、ノウハウやリソース不足を、本プラットフォームの導入により解消するとしている。

具体的には、AIを活用し、商圏や購買履歴など各種データから顧客の興味関心・生活シーンに合わせた最適な広告配信を行うことで「顧客の購買体験」を向上させるなど、さまざまなDXソリューションを提供する。また、小売流通企業の持つアプリや店頭のサイネージなどに最適な広告を配信することで、小売流通企業が広告事業収入を得られる新たなビジネスモデルを創出するという。

今後、サイバーエージェントとNTT Comは連携を強化し、小売流通企業への同プラットフォームの提供拡大を進めるとともに、ICTを活用したスマートな社会の実現に取り組んでいくそうだ。また、最新技術の活用やより強固なセキュリティサービスによる効率的な広告事業の推進、業務プロセス全体の最適化の検討に取り組み、小売流通企業の利便性向上を目指す。そして、グリーン電力などもあわせて提供できる仕組みを構築し、サイネージ機器が使用する電力のグリーン化をすすめるなど、環境経営の実現にも取り組むそうだ。

New Retail Navi編集部

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