24社で一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会を発足

2021年5月25日18:54

三菱UFJ信託銀行や三井住友トラスト・アセットマネジメントをはじめとした金融機関とナウキャストやリフィニティブ・ジャパンなどのデータプロバイダーなど総勢24社では、一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会を発足し、活動を開始した。KPMGコンサルティングは同協議会の事務局を務めている。

オルタナティブデータは、金融機関や投資家等が資産運用で利用してきた伝統的なデータ(財務データなど)とは異なる情報源から生成されるデータを指し、テクノロジーの発展によって利用可能になった新たなデータも対象だ。オルタナティブデータの活用によって、投資運用においては投資判断のスピードアップや投資戦略の差別化が期待されている。しかし、日本ではオルタナティブデータの活用は緒に就いたばかりであり、オルタナティブデータに関するレギュレーションの理解不足や不明確な解釈の存在、金融・経済に関する知識とデータ分析スキルを兼ねそろえた人材の不足、コスト・ベネフィットの評価手法の未確立など、多くの課題が存在するという。そこで、オルタナティブデータの活用における共通の課題について、関連する企業の衆知を集めて取り組むべく同協議会を設立した。

同協議会では、各社がDXによる業務高度化を目指す中で、次のステップとしては活用するデータによる差別化が必要となることを広く伝えると同時に、オルタナティブデータの活用事例の調査や実証実験に基づくベストプラクティスの共有を通じ、投資効果の見える化を促進するとともに、関連する全ての当事者が交流できる場を提供し、オルタナティブデータの利用に関する啓蒙活動推進の中核を担っていく。

具体的な活動として、会員同士の定例勉強会を週次で実施しているほか、ブルームバーグ.エル.ピーの主催する学生向けのESG投資コンテストへの協賛により、学生へのオルタナティブデータの認知度向上を進める。また、6月には外部向けのセミナーを開催予定。

さらに、健全なエコシステムを育成していくためには「オルタナティブデータ」の取り扱いや流通に関する一定のガイドラインが必要だ。海外ではオルタナティブデータを取引するため共通のガイドライン(Due Diligence Questionnaire)が存在しており、契約の前提として各社が取り交わすことが通例となっている。このようなガイドラインを日本の法規制に則った形で作成すべく山下総合法律事務所に参画してもらい、会員以外にも広くデータ利用に関する共通認識・社会ルールの醸成を推進することを目指す。

また、現時点では体系的な研修や人材育成のロードマップなどが明示されていないため、どのようにスキルを習得すべきかわかりにくいという課題が存在している。オルタナティブデータを活用できる人材のスキル要件と職種定義を一般化することで他業種からの人材移転や、スキル向上を図ることが可能な枠組みを構築していく。

具体的には東京証券取引所が提供するSand Boxサービスを活用して、会員企業から提供されるデータを用いて、新たなチュートリアルの開発をAlpaca Japanを中心に進めていく。

これらの活動を推進するために、金融機関およびデータプロバイダー、データ分析会社、教育機関、コンサルティング会社などがお互いの立場を超えて連携し、日本のオルタナティブデータ活用発展につなげていく。

New Retail Navi編集部

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