ベトナム小売流通業界のデジタル化に参入(ペンシル)

2020年5月22日7:00

研究開発型ウェブコンサルティング事業を展開するペンシルは、毎年約6%の経済成長を続けるベトナム市場において、未だ黎明期である小売流通業界のデジタル化に参入すべく、エスエイウェアハウスのベトナム現地法人 SATISFY ALL YOUR NEEDS CO., LTD.(SAYN) に出資し、資本業務提携を行ったと発表した。

ベトナムにおけるEC(電子商取引)市場規模は、2013年の39億USD(約4,100億円)に比べ、2019年においては94億USD(約9,900億円)にまで成長し、約2.4倍となっている(調査会社GlobalData調べ)。しかし、外資系オンラインショッピングモールの勃興と衰退、大量の模造品流通、限られた決済手段、複雑な輸入や関税手続きなどにより、ベトナムの小売市場におけるデジタル化(EC化)率は10%にも満たないというデータもある。

ベトナムは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的に、2020年4月1日から22日間の社会的隔離措置を取った。2020年5月15日時点での死亡者は0名、また、市中感染者も0名と、アジアの中でもいち早く新型コロナウイルス感染症の制圧に成功している国の1つだ。このような背景から、アフターコロナにおけるベトナム小売流通業界のデジタル化を推進すべく、SAYNへの出資を決定した。

今回の出資により、ペンシルはSAYNの株式の13.615%を所有する株主となる。同提携により、ペンシルはSAYNの戦略パートナーとして、ベトナム小売流通業界のデジタル化に参入する。

ペンシルは2018年からエスエイと業務提携し、ベトナム市場におけるデジタルを活用した日本製品の代理販売事業を確立してきた。今回の資本提携により、2020年5月より新たにプロモーション事業、デジタルマーケティングスタジオ事業をスタートさせる。

代理店事業では、従来型の商社や卸問屋を経由した大ロットでの輸出や、日本から直接消費者に配送する越境ECとは異なり、ペンシルが製造メーカーから商品を直接仕入れ、エスエイのリソースを活用し販売を一気通貫で行うことで、通常製造メーカーからは見えない、マーケティングのPDCAや現地購買層をソフトウェアを駆使して可視化するという。

プロモーション事業では、ベトナムを含む東南アジアではKOL(キー・オピニオン・リーダー)やインフルエンサーによるプロモーションが流行しているが、費用は高騰しており販売に繋がらないという声も多いのが現状だ。今回新設するプロモーション事業では、このような流行には乗らず、日本での成功事例と日本より15年ほど遅れているといわれるベトナムの今を熟知したプロモーションプランナーとライターが、商品を徹底的に調査しその魅力を、WEBサイト、動画サイト、SNS等のデジタル媒体に落とし込むとした。

デジタルマーケティングスタジオ事業では、WEBデザイナー、ソフトウェア開発者などのデジタル人材を中心としたチームを構築し(初年度20名想定)、代理販売事業とプロモーション事業の土台とする。そして、蓄積されたデジタルマーケティングノウハウを国内外の製造メーカーに対しチームとして提供していく。これにより製造メーカーは外部委託や内製とは異なる新たなデジタルマーケティング部隊を持つことができるとしている。

ベトナムを含む東南アジアでは所得が上昇しており、1万円以上の高級品に対する購買意欲が高まっている。しかし高級品であるほど模造品も多く消費者は慎重になる。エスエイのサービスは製造メーカーから直接預かった本物の商品を、現地の文化に合わせた効能・魅力を添えて消費者に届けることだとした。従来型の輸出入業務コンサルティングではなく、販売にもコミットしたサービスを提供するそうだ。

New Retail Navi編集部

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