2020年1月27日8:10
移動スーパー事業を展開するとくし丸は、買い物難民を支援するため2012年に設立され、2016年5月からはオイシックス・ラ・大地の子会社となり、事業を推進している。とくし丸と提携する地域のスーパーマーケット(SM)と契約した販売パートナーと呼ばれるオーナー経営者(個人事業主)が地域の提携SMの商品を選りすぐり、約400品目1,200点の商品を冷蔵機能を備えた軽車両に積み込んで各エリアを巡回し商品を販売する仕組みだ。
また、地域の自治体や警察署と見守り協定を結び、利用者に病気の兆候があった場合は地域包括センター等に連絡、詐欺事件を防止するなど地域の安全も見守っているという。
宮城県における高齢化率は22市町で30%を超え、県全体の高齢者人口(65歳以上)は62万9,559人で、前年より1.6%増加している。単身世帯も増加傾向で推移し高齢者全体の約19.3%に当たる12万1,355人が1人暮らしという状況であることや、高齢夫婦のみの世帯も増加傾向で地域で高齢者を見守る活動を強化する必要がある。また、高齢者による重大交通事故を背景に東北各県では運転免許の自主返納も加速、自主返納者の9割が65歳以上を占めている状況だ。(宮城県高齢人口調査 平成31年3月より抜粋)。このような社会的背景も受けて、地域の見守りも兼ねた移動スーパーのニーズはさらに高まる見込みだ。
とくし丸は東北6県(青森、岩手、宮城、福島、秋田、山形)において11社のSMと提携し、44台が稼働している。提携SMも増加傾向で現場で働く販売パートナー候補者からも多くの問合せを受けており、今後稼働拡大を見込んでいるエリアだ。
移動スーパーとくし丸は、粗利の30%は地域SMと現場で働く販売パートナーで分け合う仕組みで、店頭価格に一商品あたりプラス10円となり、双方で5円ずつ還元される仕組みになっている。
買い物に困る利用者を支援し見守り活動もしながら、地域SMの利益を生み、現場で働く販売員の雇用にも繋がるという、持続可能なビジネスモデルが高く評価され、「グッドデザイン賞ベスト100」や総務省が主催する「ふるさとづくり大賞(2019年)」を受賞しているそうだ。